急速にかつ大きく変化する経営環境において、経営責任者が果たすべき最も重要な職務はマネジメント・アジェンダ ― 取り組むべき／解決すべき経営課題 ― を正しく設定すること。市場の変化や組織内部の変化から生じる様々なリスクやチャンスを、マネジメントアジェンダとして正しく定義し、しかるべき組織レベルと体制でプロジェクトを組成してその解決をはかる、経営とはその地道な行為の繰り返しです。そして未来へ向けた事業編集の要諦もアジェンダ・マネジメントにあるのです。

企業におけるアジェンダのマネジメントとは、経営として向き合うべきアジェンダの設定とそれへの取り組み／解決のサイクルを正確かつ迅速に回すこと ― いまいったい何が起こっているのか、それはどのレイヤーの課題として考えるべきなのか、そこでの真の課題は何なのか、そしてそれは誰が責任を持つべきものか、いつまでに解決すべきか、どのようにして解決すべきなのか ― この一連の課題解決プロセスを明確な意思を持って的確にコントロールすることです。

期待成果の実現は、このような的確なアジェンダのマネジメントに基づくプロジェクト・メイキングを着実に行い続けることによって初めて実現します。いまの経済社会の混迷の背景には、個々の現場でこのことをないがしろにしてきたという実態があるのではないでしょうか。